「日々のカケラ」:第2話







目的の店についたのはもうすぐ8時になろうかという頃。
初秋の夜の風は穏やかだが冷たかった。
高松はボーイに車のキーを渡して扉の中にサービスを導き入れる。

オレンジ色の色彩を帯びた店内には食欲をそそるバターのこげる匂いや肉の焼ける匂いが漂っていた。
この店を見つけたのはいつかサービスと買い物に来た時だったと思う…、いつもは入らない路地にたまたま入って偶然見つけた、大概食事を残しがちなサービスが綺麗に残さず平らげたのが印象に残っていた。



席について、サービスの望みどおり“上等なワイン”と、高松は牛フィレのポワレ、サービスには鴨肉のソテーを注文する。
そうしてアミューズが運ばれて来るまでの間、コレはガンマ団の経費で落とせるだろうか、などど考えていた、そして総帥の弟君の接待ならば落ちないはずも無いかもしれない、と少し希望を抱いたりしていた。
かなり偏食であるサービスの好みや食べたいものを高松は大体把握していた。



「それでは乾杯。」


「一体何に?」


その綺麗に整えられた指先でグラスを弄びながら、サービスが高松に問う。


「そうですね、久しぶりの再会ってのもアレですし。
 この後の貴方の気まぐれの優しさに乾杯しておきましょうか。」


「馬鹿。」


「精々期待しておきますから。」


運ばれてきた料理もワインも、サービスは実に美味しそうに食べた。
普通の人が見ればポーカーフェィスにしか見えないような彼の表情も、高松から見たらかなり満足している事が分かる。
そしてやはり今回も綺麗に何もなくなったサービスの皿を見て高松は密やかに満足するのだった。



店を出たのは10時をだいぶ過ぎた頃、秋空に煌く都会の星は遠くかすんでいるばかりだった。

「私邸には戻らないんですか?」


「ホテルが取ってある、…ハイアットのスウィート。」


「…モチロンそれもガンマ団の経費で、ちなみに運転していくのは私なんですね?」


車を持ってきたボーイにチップを渡しながら高松が呆れたように訪ねた。


「モチロン。」


サービスはさも当り前のようにしれっと言ってのける。
まったくこの麗人と一緒にいると自分の常識がことごとく崩れ去っていくようだ、高松は今更ながらにそう思う。









豪奢な造りの部屋で、壁一面の大きな窓からは夜景が一望できた。
ルームサービスで運ばれて来たロゼのシャンパンを流し込みながら、既にジャケットを脱いで寛いでいた高松はタイを緩め、カフスを外した。
そうしてサイドチェストにグラスを置いて、夜景を見ていたサービスの後に回り込んでその体に腕を回す。


「で、どうやって慰めてくれるんでしたっけ?」


サービスの髪に顔をうずめながら項にそう囁きかける。
其処が弱いと知っているから。
少し身じろいで振り返ったサービスの瞳は既に妖しく潤んでいた。
その抗い難い色香に絆されて唇を奪おうとした刹那、サービスのほうから熱烈な口付け。
思い掛けない甘い感覚に一瞬意識が遠くなる、サービスの舌が高松の咥内をなぞり、侵食していく、その舌の動きに合わせて高松も舌を絡める。
向う向きの体制で仰け反るようにキスをしてくる露になった白い喉元が、まるで生き物のように上下する様は言いようも無く猥らだった。


「んっ…はぁ…」


互いに貪りあうように深く、深く、唇を奪い合う。
辺りに響く二人の湿った水音と荒い呼吸の音に理性が飛ぶ。
高松はサービスの腰に回していた手を上にずらしながら彼の仕立てのいい服を少しづつ剥ぎ取っていく、ジャケットを肌蹴させ、シャツを捲し上げていく。
そして胸元まで手を入れると其処に顕れた乳首をゆっくりと摘み上げ、指で擦るようにゆっくりと転がしていく。


「んっ…ドクター…」


サービスが呼吸を乱して非難めいた色で喘ぐ。
その甘さを秘めた切ない声に高松も昂ぶる。
更に彼の上半身の服を全て剥ぎ取って下に手をずらそうとすると、サービスは顔を引いて口付けを中断してしまう。
高松が名残惜しそうに、その離れていく下唇を吸う。
そうしてサービスは高松に向き直るとその長くしなやかな指で高松の緩められたタイをするすると襟から抜いて後に投げた。
そしてその長く整えられた爪を露になった高松の鎖骨に這わせて囁く。
まるで挑発でもするかのように…高松の顔を舌から覗き込んで…



「今日は私が慰めてあげるって言っただろ?」


そう言うとサービスは高松を指で後ろに下がらせる、高松も逆らうことなくそれに従う、お互いに見つめ合ったまま。
薄く蒼い瞳と漆黒の瞳とが絡み合う。
そうしてベッドの横まで来るとそのまま高松を座らせる、サービスは向かい合う形でその膝に乗り、腕を肩に回して高松の顔を引き寄せた。


「ドクター…」


そう囁きながらその白く華奢な指で高松のホクロをなぞる、ゆっくりと。
高松は視界の隅で蠢くそんなサービスの白磁の指を顔をずらして口に含んだ、サービスもされるままにしておく。
高松はサ−ビスの指を口に含みながら向かい合った頬に手をかけ、その金糸の髪を梳いた。
そしてサービスも自分の口元に来た高松の節ばった親指をそっと、口に含んで濡らして行く。
そうしてお互い湿った音を立てながら互いの指を咥内で溶かしていく。

サービスが高松の指のへの愛撫を止め、高松の口から自分の指を抜き取った。
そしてその濡れて光った指先で高松の鼻先をなぞり顔を近づけた。
しかし再びその赤く色付く唇に高松がキスをしようとすると、ついっと逃げられてしまう。
サービスは半ばそうやって高松をからかうのを楽しむように、わざと唇を避け頬に、額に、目蓋に唇を落としていく。
美しい人に焦らされ続ける感覚に高松は喉の奥がチリリとするのを覚える。
そしてサービスは顔をそんな高松の肩にうずめ首筋と鎖骨を強く吸った。
高松は息が止まるような気さえして。


「っ…サービスっっ…」


と、サービスの頭を掻き抱いた。
そうしている間にもサービスの柔らかな唇はシャツを肌蹴させた高松の体に赤い印をつけて侵食していく。
そして徐に膝の上から降りてその長い舌を高松の臍の窪みに差し込んで激しく攻め立てた。


「ツッ…あっ…」


あまりの快感に高松は上擦った声を上げてしまう、
それに構うことなくサービスは更に舌を上下させて高松の快楽を探る。
高松の背が大きく撓る。
それに満足してサービスは最後に深くキスをして其処への攻撃を止めた。
そして高松のファスナーに手をかけた。
ゆっくりと露になる其処はもう既に張詰めていた。
サービスはそっと其れに手をかけそっと口付ける。


「なっ…そんなサービス!」


慌てたのは高松の方だった。
あの事件の直後は一方的に高松がサービスを抱いていた。
その後の逢瀬でもサービスはこんな事してくれはし無かった、どうやら今日は本当に自分に尽くしてくれるらしい。
そんな愛しい相手の髪を柔らかく撫でながら、高松はサービスが自分のペニスを咥える様から目が離せなかった。
完璧な美を誇るその人のそんな卑猥な姿はあまりにも鮮烈で…高松の欲望を更に駆り立てた。
額にかかる髪を掻き上げながら、ゆっくりと口付けて零れ落ちる液体を舌で掬う。
その余りの淫らな美しさに心がざわめく。
先端の窪みを舌でなぞる、その度高松は声を押し殺しながら身じろぐ。
サービスは更に口の奥まで含んで、頬壁で擦り上げるように高松を刺激する、何度も何度も上下させながら。
高松も遂には声を押し殺せなくなり声を上げてしまう。


「あぁっっ…サー・・ビス…もう…。」


高松が我慢の限界をサービスに告げると、額に汗を滲ませたサービスは更に先端を強く吸い上げた。

「………っっっあっ!」


高松はそのままサービスの咥内で果ててしまう、慌てたように高松がサービスのほうを見ると、少し咽ながらサービスは高松が吐き出したものを嚥下してしまった後だった。






















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