My only love sprung from my only hate.























「楽園の果てで」:プロローグ







限りない沈黙が流れた
ちょうど、目の前を彼がゆっくりと通り抜けていくだけの間




久遠の彼方…この世に生み出された時から、時の流れと言うものに気付いた時から、赤の秘石は自分の<絶対的な存在だった。
血肉を与えられ、意志を授かり、命を吹き込まれた。
この体に流れる血に宿るのは番人としての使命、細胞の一つ一つが秘石の意志。
赤の秘石と赤の一族を守る事こそが自分に架せられた定め。
彼らに仇為す者―…青の一族。
そう呼ばれる者達、冷酷で、邪悪な、穢れた、自分の敵。
呪われた楽園の追放者達。


赤の秘石に敵対する者であり、悪の化身たる彼らを憎み、滅ぼす。
そんなものは容易い事だと、そう思っていた…。










瞬間目を奪われた。
大袈裟な式典、集まった群衆のざわめきが静まり、そして皆彼の姿に振り返る。
新入生代表として壇上に上がり誓いの言葉を述べるその姿。
息を呑む。
その白皙はさながら南国の砂浜のようでもあり。
輝く金糸の髪は輝く太陽のようにも、穏やかな光を擲つ月のようにも見えた。
そして、その瞳。
その何処までも底知れず青い瞳はあの空であり、あの海だった。
そんな風に今までの自分の命の中で見てきた全てを其処に垣間見た気がした。


そしてそれに少し遅れて血が騒ぐ、赤の秘石の意志が頭の中で警告する。
――――――あれが私たちの敵である、と……。



青の一族。
自分の憎むべき敵、断罪すべき追放者。
しかしそれは邪悪と呼ぶにはあまりにも純粋で、敵と呼ぶにはあまりにも…

美しかった……。








血が、意志が彼を憎め、殺せと苛む。
しかし心の奥底、自分の魂は彼をどうしようもなく求めていた、…その瞬間から。
出会いは最初から悲劇だったんだ、まるで救い様の無い、それでも…それでも…お前と巡り会えて良かった。
サービス、俺の魂の行き着く先はお前だったんだ。













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